ゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)の利子免除期間(3年)を経過すると利子を返済していかなければなりません。また、元本返済の据置を受けている場合は、その期限に応じて返済が始まることになります。
現在、資金繰りが安定していても、借入返済の原資を確保していかなければなりません。借入返済の原資は「利益」です。その確保には、①付加価値(限界利益)を引き上げる、②固定費を極力抑える、この2つの組み合わせによって黒字決算を実現させることが必要です。借入返済について、漠然と考えるのではなく、具体的な数字に落とし込み、返済に必要な目標利益を計算し、それを目標として取り組みましょう。
年末調整業務をスムーズに進めるには、事前の準備が大切です。年末調整の主な申告書として、基礎控除申告書、配偶者控除等申告書、所得金額調整控除申告書、扶養控除等申告書、保険料控除申告書、住宅借入金等特別控除申告書があります。
基礎控除申告書は、年末調整の対象者が必ず記入します。また、給与収入850万円超で、納税者本人や同一生計配偶者、扶養親族が特別障害者である、扶養親族が23歳未満であるなどの条件に該当する場合は、所得金額調整控除申告書への記入が必要です。
扶養控除等申告書は、扶養親族の異動がないかを確認し、収入がある場合は所得の見積額を記入するほか、障害者、ひとり親、寡婦等の該当も記入します。
年末調整は電子化することで、申告書の記入や計算が自動化され、手間やミスの削減につながる、控除額の検算や控除証明書との突き合わせなどの経理担当者の確認作業が不要になる、など事務負担の軽減を図ることができます。
インボイス制度では、書類の名称(請求書、納品書、領収書等)に関係なく、登録番号や適用税率、消費税額等などの一定の事項が記載されたものがインボイスになります。
事業者間取引を行う事業者の場合、通常は、請求書がインボイスになるでしょう。また、取引の都度、取引先に納品書を発行し、請求書は1か月分をまとめて発行するような場合には、納品書に一定の事項を記載することでインボイスにすることも可能です。どちらをインボイスにするかによって、消費税額の計上時期が異なります。
インボイスは、レシートや手書きの領収書でも構いません。小売業など不特定多数の者と取引する事業者は、インボイスに代えて、記載事項を簡易にした簡易インボイスを発行することも可能です。
インボイス制度が始まると、買手は売手から受け取ったインボイスと一定の事項を記載した帳簿書類の保存がないと、原則として仕入税額控除ができなくなります。
インボイスは、売手が買手(得意先)に、適用税率や消費税額等を正しく伝えるための手段となるもので、きちんと対応しないと得意先に迷惑をかけることになります。
インボイスを発行するには、適格請求書発行事業者の登録を受けなければなりません。買手が、仕入税額控除を必要としない消費者や免税事業者のみの場合は、インボイスを発行する必要がないため、あえて適格請求書発行事業者の登録をしないという選択肢が考えられます。
例えば、コロナ禍で売上高がゼロになるような店舗もあり、補助金等を申請してもなかなか給付されず、困った方もおられたでしょう。そんなとき自己資本が潤沢であれば、社員の給与や店舗の家賃を払い続けることができます。このようなことから、今、自己資本に関心が高まっています。自己資本は、経済情勢が悪化したときに企業を守る防波堤となるのものといえます。
自己資本比率を高めるには、付加価値(限界利益)を高めることが前提となります。大事なことは、絶え間なく商品の品質向上やサービス提供の工夫を行うとともに、月次決算の精度を高めて、業績管理をより確実なものとし、コスト削減に努めて利益を出し、適正に税金を納めて内部留保をすることを地道に進める必要があります。
(注)本稿では「付加価値」を「限界利益」の意味で解説しています。
仮に夫婦共働きで妻がパートで働いているようなとき、夫の扶養範囲に収まるかどうかの収入の基準として、103万円・106万円・130万円などの年収の壁があります。
妻の収入が給与のみで年収103万円以下のとき、妻に所得税は課税されず、夫も自身の収入から配偶者控除を受けることができます。妻の収入が103万円超201万円以下であっても夫の合計所得金額が1,000万円以下であれば、配偶者特別控除を受けることができます。
給与以外の収入として、株や為替、暗号資産等の取引による利益、物品等の転売益、生命保険の一時金、損害保険の払戻金等は、雑所得や一時所得として所得税の課税対象となる場合があります。これらを正しく把握しておかなければ、意図せずに「壁」を超えることなどが起きてしまいます。
106万円・130万円の壁は社会保険への加入の必要性にかかわるものです。保険や年金は、将来のお金の問題にもかかわります。働き方についても十分に検討しましょう。